輸出実績の減少
2023年度の日本酒の輸出金額は410.8億円と、前年比87%まで減少しました。これは景気後退とインフレの影響を色濃く反映しています。輸出量も同様に減少し、2.9万立方メートルで、これは前年比で81%の実績です。
日本酒輸出実績に関する主要情報
輸出金額1位:中国
- 金額:約124.7億円(前年比88.0%)
- 景気後退と特定輸入品の停止が影響
輸出数量1位:アメリカ
- 数量:6,502㎘(前年比71.6%)
- 在庫調整とインフレの影響
金額で増加を記録した国:
- 韓国:29.0億円(前年比115.1%)
- 台湾:26.8億円(前年比120.5%)
- 他にイタリア、ブラジル、スペインも増加
数量で増加を記録した国:
- 韓国:4,192㎘(前年比103.4%)
- 台湾:3,104㎘(前年比100.9%)
輸出相手国数:
- 過去最高の75カ国に到達
インバウンド需要へのアプローチ
海外における日本酒の認知度はまだ低い国や地域が多いのが現状です。そこで、円安が追い風となっているインバウンド需要へのあアプローチに注力することも重要と考えることができます。主要国際空港でのキャンペーンのほか、各地域での酒蔵ツーリズムの実施などで訪日外国人への積極的なアプローチが必要です。
プレミアム志向
1ℓ当たりの輸出金額は2022年に引き続き上昇傾向となっています。主に、中国、香港、シンガポールでは2000円/ℓを超える金額となっています。10年前の平均輸出金額と比べると、2倍以上に上昇しています。
今後の日本酒の輸出展望
アメリカにおいてでも、日本酒の認知度はニューヨークやカリフォルニアではたかいものの、テキサスやフロリダでは低く、地域によって異なるのが現状です。一方、中国、米国、香港で輸出金額の大部分を占めていることから、輸出国の多角化が必要になります。東南アジアでは日本食レストランも増えており、中南米やブラジル、メキシコも新たな市場として注目を集めています。
中長期的に見た場合、ASEAN加盟10カ国による地域的な包括的経済連携協定(RCEP)による関税の段階的撤廃が追い風になると期待されます。
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